「思考のOS」を鍛える、人類学・民族誌の名著
あなたは、ロジカルに正しい判断を下したはずなのに、チームや現場が思うように動いてくれない、と感じたことはありませんか?
データも揃っている。筋道も通っている。それなのに、なぜか浸透しない。 その原因は、あなたが「人」を見ていないからではなく、データやロジックには表れない**「現場の文化」や「見えないルール」**を見落としているからです。
その「見えないルール」を読み解くための、最強の「技術」。 それが、文化人類学の核となる手法、「民族誌(エスノグラフィー)」です。
民族誌(エスノグラフィー)とは何か?
民族誌とは、一言でいえば「ある特定の人間集団に関する、詳細な観察レポート」です。
文化人類学者が、調査対象(アフリカの村、都市のストリートギャング、あるいは日本の企業組織)のど真ん中に飛び込み、彼らと生活を共にしながら、その集団特有の「当たり前」や「現場の論理」を、内部の視点から深く記述する。それが民族誌です。
なぜ今、「民族誌」を読む意義があるのか?
ビジネス書を読むだけでは、この力は身につきません。 なぜなら、ビジネス書が「合理的な正解(What)」を教えてくれるのに対し、民族誌は「人間が動く、一見不合理に見える理由(Why)」を教えてくれるからです。
- なぜ、あのチームは非効率な「昔ながらのやり方」に固執するのか?
- なぜ、あの部署は「タテマエ」ばかりで「ホンネ」が出てこないのか?
- なぜ、ロジカルな提案が「感情論」で覆されるのか?
その答えは、その「現場(チーム、部署)」が持つ独自の文化(=民族誌)にあるのです。
AIが「正解」を提示できても、人間が動く理由は提示できません。 優れた民族誌を読むことは、この「物事の裏にある構造を見抜く『眼』」――私たちはこれを「エスノグラフィック・アイ」と呼んでいます――を鍛える、最高のトレーニングになります。
ご紹介する20冊は、まさにその「エスノグラフィック・アイ」を鍛えるための、最高の名著(民族誌)です。AI時代に本当に必要な「判断力」を養う世界へ、ようこそ。
フェーズ1:なぜ(Hook)— 現代社会と「仕事」のなぜ?
まずは、皆様が日々直面している「組織」「コミュニティ」「格差」といった身近な課題に、人類学のメスを入れます。
- ウィリアム・ホワイト『ストリート・コーナー・ソサエティ』(1943)
- なぜこの本から?: 現代の「組織論」や「リーダーシップ論」の原点です。都市の片隅のコミュニティ分析から、あなたの職場の「見えないルール」を読み解くヒントを得られます。
- ルース・ベネディクト『菊と刀』(1946)
- なぜ今?: 日本人論の古典ですが、現代日本の「空気」や「タテマエ」の構造を理解する上で、今なお強力なレンズとなります。
- エリオット・リーバウ『タリーズコーナー』(1967)
- なぜ?: 『ストリート・コーナー~』から一歩進め、都市の貧困層のリアルに迫ります。現代の格差社会を「構造」として捉える視座を提供します。
- オスカー・ルイス『貧困の文化』(1959)
- なぜ?: 社会課題に関心を持つ方へ。「自己責任論」では見えない、貧困が再生産されるメカニズムを解き明かします。
フェーズ2:共感(Empathy)— 日本の足元と「新しい豊かさ」
海外の次は、私たちの足元である「日本」を見つめ直します。当たり前だと思っていた風景が、全く違って見えるかもしれません。
- 宮本常一『忘れられた日本人』(1960)
- なぜ?: キャリアに悩む社会人にこそ読んでほしい一冊。宮本常一の「自分の足で歩き、聞く」姿勢は、情報過多の現代で「判断力」を持つとはどういうことかを教えてくれます。
- 柳田國男『遠野物語』(1910)
- なぜ?: あなたの知的好好奇心を強く刺激します。日常の裏にある「もう一つの世界」を感じさせ、リベラルアーツの面白さへの扉を開きます。
- 網野善彦『無縁・公界・楽』(1978)
- なぜ?: 「組織に縛られない生き方」が中世の日本に存在したことを知っていますか?現代のキャリアや「フリーランス的思考」に関心のある層に深く響きます。
- コリン・ターンブル『森の民』(1961)
- なぜ?: 現代の競争社会とは全く異なる価値観(狩猟採集民の社会)を提示。「豊かさ」とは何かを根底から問い直すきっかけを与えます。
フェーズ3:視点の転換(Shift)— 日常の「当たり前」を疑う
ここからが人類学的思考の真骨頂。あなたが毎日触れている「モノ」や「感覚」が、いかに文化的に作られたものかを暴きます。
- シドニー・ミンツ『甘さと権力』(1985)
- なぜ?: 日常の「砂糖」という身近なモノから、世界史と権力構造を読み解きます。まさに「人類学的思考を武器にする」ための最高のトレーニングです。
- 波平恵美子『ケガレの構造』(1984)
- なぜ?: 現代人が強くこだわる「清潔/不潔」という感覚。それが文化的なタブー(ケガレ)の構造であることを解き明かし、「当たり前」を疑う視点を養います。
- 坪井洋文『イモと日本人』(1979)
- なぜ?: 食文化から日本人の生活史を探ります。「イモ」という視点から、日常の風景が持つ歴史の厚みに気づかされます。
- 谷川健一『日本の地名』(1977)
- なぜ?: あなたが今いる「地名」の由来は?足元の風景から、忘れられた歴史や人々の営みを読み解く面白さを伝えます。
フェーズ4:多様性(Diversity)— 世界と「他者」の再発見
視点が転換できたなら、次は世界の多様な「他者」の論理を理解します。これがグローバル社会で活躍するための基礎体力となります。
- マーガレット・ミード『サモアの思春期』(1928)
- なぜ?: 「人間の悩み(思春期)」が文化によって全く異なる姿をとることを示します。子育てや自己の成長に悩む方へ、全く新しい視点を提供します。
- 川田順造『サバンナの音』(1988)
- なぜ?: 「音」というユニークな切り口で異文化を理解します。「視覚」ばかりに頼る現代社会への強烈なカウンターパンチです。
- 梅棹忠夫『モンゴル研究』(1976)
- なぜ?: 生態学的な視点から文化を捉えます。環境と人間の営みの関係性という、現代の最重要テーマの一つです。
- 赤坂憲雄『異人論序説』(1985)
- なぜ?: 『遠野物語』から一歩進め、日本文化における「他者(異人)」の役割を考察します。多様性を受け入れるとは何かを考えさせられます。
フェーズ5:構造と実践(Practice)—「知」を武器にする
最後に、これまでの学びを統合し、社会の「構造」を読み解き、自ら「実践」するための知恵へと昇華させます。
- ジェイムズ・スコット『モーラル・エコノミー』(1976)
- なぜ?: 経済と道徳の関係を問います。ビジネスパーソンに対し、「利益」だけではない「公正さ」や「道徳」という視点を提示し、講座の「判断力」というテーマに直結させます。
- 松田素二『都市を飼い慣らす』(1996)
- なぜ?: 現代のアフリカ都市を舞台に、人々が主体的に社会をどう作り変えているかを活写します。「受け身」ではなく「主体的」に学ぶリベラーツの精神とも通底します。
- クロード・レヴィ=ストロース『悲しき熱帯』(1955)
- なぜ?: 「知の巨人」の著作を紹介することで、リベラーツが目指す学術的な信頼性を示します。その内省的な旅は「知の探求」そのものを象徴しています。
- マリノフスキー『西太平洋の遠洋航海者』(1922)
- なぜ?: 人類学の原点であり、体験講座の企画案でも重視されている「フィールドワーク」の聖典です。経済合理性だけではない「贈与(クラ)」の重要性は、21世紀の資本主義論や人的ネットワーク論にも通じます。この講座への、最強のブリッジ(橋渡し)となる一冊です。
🎓 あなたの「判断力」を鍛える、最初の一歩へ
いかがでしたでしょうか。このリストを眺めるだけでも、人類学や民族誌がいかに現代社会と深く結びつき、私たちの凝り固まった思考をほぐしてくれるか、その可能性の一端を感じていただけたかと思います。
これらの名著が教える「物事の裏側にある構造を読む力」「当たり前を疑う批判的思考」こそ、リベラーツがあなたに提供したい核心的な価値です。
まずは、この「エスノグラフィック・アイ」を、リベラーツの体験講座で実感してください。
データでは読めない「現場の本音」を見抜く技術を学ぶ
AI時代に「判断力」を鍛えたいあなたへ。 なぜ、あなたのチームは「合理的な判断」に従ってくれないのか? その答えは、文化人類学の「民族誌(エスノグラフィー)」にあります。



コメント